私は33歳、母は63歳です。私の祖母は89歳で亡くなりました。一昨年の冬でした。
数日前から祖母の容態があまりよくないことを連絡してもらっていました。
その間はあまりにも心配で、隣の県の祖母がいる老人センターまで何回も行ったり来たりを繰り返していました。
私は早くに結婚し、子供も三人でき、祖母に合わせに行くことが何よりも楽しみにしていましたし、祖母も元気な頃はいつも楽しみにしていてくれていました。
買い物に行ったり、子供のおむつやミルク、洋服、靴まで沢山買ってくれ、とても助かっていました。
私は祖母と生まれた時から一つの家に住んでいました。
忙しかった私の母の代わりに、食事や洗濯、掃除など家事はほとんど祖母がしてくれていました。
小学生の私が家に帰るといつも祖母が”おかえり”と言ってくれました。中学生、高校生、大学生になってからも祖母は私に優しく接してくれました。買い物に行くと、自分のものを我慢して私に洋服を良く買ってくれたことを覚えています。
そんな祖母が階段から落ちて老人ホームに入る様になってから、祖母に会いに行く回数が少しづつ減っていきました。
あんなに優しくしてくれた祖母が私の顔をみて、誰だか分からないような顔をした時、ショックでした。
でもこれが老いていくことなんだと、祖母に教えられた気がしました。祖母が亡くなった日は、夜中でした。
祖母の顔をみると涙がずっと止まりませんでした。
お葬式当日、葬儀屋さんが、丁寧に式の説明をしてくれるなか、私は涙を我慢していました。
1人の葬儀屋の方がハンカチをかしてくれて、我慢することないですよ、泣いても良いんです、と小さな声で私に言って下さいました。ずっと我慢していたものがこみあげてきて大泣きしました。
そのせいか、お葬式が始まると、なんだかスッキリしたような気持ちになり、祖母の写真を見つめ、しっかりと見送ることが出来ました。
祖母はとても強い人だったので、私は祖母の顔をしっかりと見てお花も沢山顔のまわりに華やかになるように置いてあげました。
きっとおばあちゃん、喜んでますね、あなたが強い気持ちでいられたことを、きっと安心していますよ、と先ほどハンカチをかしてくれた方が私に言ってくれました。
葬儀中も遺族の心に目を向けて、声をかけてくれた所に私は深く感謝しました。
悲しい場所だからこそ、声をかけることは難しいと思います。でも声をかけられて前に進む勇気を私は頂いたと思っています。