筆者は、会社に勤めていた時から葬儀の経験はたくさんありました。
受付はもちろん会計の責任者もしました。また、納棺のときの親族が足りないということで急遽メンバーに入ったこともありました。
しかし、葬儀を取り仕切る側になったことは、自分の父親の葬儀が初めてでした。
葬儀は、参列する側と取り仕切る側とでは、大きな違いがあります。
葬儀をする側には、人が死んだことを悲しんでいる時間はありません。
葬儀を取り仕切る中で一番必要なことは決断力です。
まず、祭壇と骨壺を選びます。この二つは、価格帯に大きな差があるため、冷静に選ぶ必要があります。
次に、香典返しです。香典返しは会葬者の年齢層に合った物を選ぶべきでしょう。若い遺族がブランデーケーキセットを選んだりしますが、年配の方たちの人気はいまひとつだったりします。
また、定番のお茶も選ぶのに苦労しました。なぜなら、年配の人たちはお茶を毎日飲んでいるため、高いお茶と安いお茶の区別ができると言われたのです。香典返しは、遺族の価値観によって選ぶ商品に個性が出ます。
筆者が、葬儀を行う側になって初めて知ったことが一つありました。
それは、葬儀をお手伝いしてくれた人たちへお礼をすることです。筆者は、会社から社員の葬儀の手伝いに派遣されたことが何度かありました。そのとき、葬儀が終わった後で何度かお礼をいただいたことがありました。
ほとんどが、小さな封筒に入った現金でした。
しかし、父の葬儀を担当した葬儀社からはカタログギフトを進められたのです。
なぜなら、カタログギフトは指定の紙袋に入っています。そのため、渡した人は手に紙袋を下げているのです。
葬儀当日は、次々とお客様があいさつにくるため手伝ってくれた人を探して、お礼を渡すことは意外と難しいのです。
万が一、渡し漏れがあったら大変なことです。
実際、筆者が会社から派遣された葬儀では、筆者にお礼を渡してくれず、葬儀終了時に上司に連れられてお礼をいただきに行ったことがありました。もらう方もあげる方も気まずい雰囲気が流れました。
その点、カタログギフトのお礼にすると、香典返しの紙袋とは、大きさも色も異なるため、見分けがつき、確認がしやすいものでした。
葬儀とは、思わぬハプニングがつきものです。また、やりなおしができないことも葬儀の特徴です。
事前にミスが無いように工夫することで、ミスは防止できます。
葬儀のプロである葬儀屋は、いくつもの葬儀を経験した中から学んだ知恵を持っています。
遠慮なくアイデアを求めて、後悔のないように工夫してみてください。