葬儀にもいくつか種類があり、そのなかに合同葬と呼ばれるものがあります。
言葉の印象から複数の人の葬儀を合同で行うように思われそうですが、そうではありません。
合同葬とは、亡くなられた方が勤務したり関わっていた企業・団体などと、ご遺族が共同で行う葬儀のことです。
企業主催の場合は社葬とも呼ばれます。
実際、企業が行うものが多く、合同葬を行ってもらえるような人は、一般的に創設者や役員などが多いとされます。
それ以外にも多大な貢献をした、業務遂行中に亡くなってしまった人などにもその人のことを特別に称え、行われることがあります。
企業関連の合同葬は従来、大企業の関係者に対して行われることが多く、そのため、よく合同葬が行われる地域には偏りがあります。
大企業が最も集中している首都圏、それも東京都で行われることが最も多いとされます。
東京で行われるものは、日本を代表する大企業の関連のものが多いだけに、都内の中心部にある大きなお寺や大きな会場で、たくさんの関係者を招いて大規模に行われることが多いです。
マスコミの取材も入ることもあり、広く国民に知られることもあります。
それだけに、この合同葬を単に故人を送るという本来の葬儀の意味だけでなく、今後の企業や団体、組織が、故人がいなくても安定して継続できるというアピールとして使う部分もあると言われています。
実際に多くの費用と多くの関係者の調整を短時間で済ませなければ大規模な社葬は行えません。
企業、組織内が一致団結していなければ段取り良く行えないでしょう。大企業の社葬はその企業の状態の縮図とも言え、社会的にも重要な意味があると言えます。
近年では、東京で大企業が行う、という従来の典型的な社葬に加え、地方でも増えています。
それも中小企業が行うことが増えていると言います。
これも、創設者などが亡くなることで、社外、組織外の人が気にしやすいその企業などの今後の先行きについて、安定していることをアピールする狙いもあると言われます。
中小企業ではあまり社葬経験がないのが普通なので、関係者の団結力が試されることにもなります。
地域によって葬儀の風習など異なるので、合同葬もそれに合わせて行われるものです。
また、大企業のものに比べて規模が小さいのが普通ですが、個人レベルに比べて多くの費用と多くの関係者の調整を短時間で済ませなければならない難しさはやはりあります。
そういう点も含めて、独特のノウハウを要求します。
地方でも増えてきている形態だけに、地域の風習にも通じた専門業者も出てきています。
東北地方の中都市に住んでいる私も実際に合同葬に出席したことがあります。
やはり、地元で有名な、しかし全国的に見ると中小企業の社長が亡くなったときのものでした。
葬儀は滞ることなくスムーズに行われました。あとで聞いてみたら、合同葬を扱うノウハウを持った専門業者のアドバイスを受けていたこともわかりました。
やはり葬儀に対してはそれなりの経験とノウハウが必要なのだと実感しました。